カナダでの英文履歴書の書き方について

監修者

監修者末永 真一

カナダ留学コンサルタント、RCA 海外留学アドバイザー No.162002|カナダ在住20年以上のカナダ留学専門家。現在までサポートしてきた留学生数は1万人以上。カナダ留学情報を発信するX(Twitter)アカウントはカナダ以外も含む留学ジャンルでフォロワー数1位(1万人以上)、月間最大インプレッションは400万以上。

就職するときに必ず必要になるのが履歴書ですよね。
もちろんカナダでも履歴書は必要で、英語ではレジュメ(Resume)と呼んでいます。いわゆる英文履歴書のことです。
そこでこの記事では、日本の履歴書と英文履歴書の違いから、英語の履歴書の書き方まで詳しく紹介します。

日本語履歴書と英文履歴書(レジュメ)の違いは?

日本での就職活動においては、履歴書に個人情報から学歴、職歴、資格、自己PRまで幅広い情報を記入しますが、カナダにおける英文履歴書(レジュメ)では、その内容や形式に大きな違いがあります。

まず、レジュメでは個人のプライバシーを尊重し、年齢や性別、宗教などの個人的な情報は記載しません。また、写真を貼り付ける習慣もありません。重視されるのは、応募する職種に関連するスキルや経験であり、これらを如何に効果的にアピールできるかが鍵となります。レジュメでは、簡潔かつ具体的な実績を強調し、ポジティブな印象を与えることが求められます。

用意する書類の種類

カナダでの就職活動において、英文履歴書(レジュメ)の提出は必須ですが、それだけではなく、職務経歴書(Cover Letter)や推薦状(References)も求められることが一般的です。

レジュメはあなたの職歴やスキルを簡潔にまとめたものであり、通常は1〜2ページに収めるのが望ましいとされています。一方で、職務経歴書はレジュメよりも詳細に、あなたが応募する職種にどのように適しているかを説明する文書です。

推薦状は、以前の上司や同僚、教授など、あなたの職業的な能力や人間性を証明するためのもので、応募先によっては提出を求められることがあります。これらの書類を適切に準備し、それぞれの目的に合わせた内容を整えることが、カナダでの職探しにおける成功の鍵となります。

主な記載内容

主な記載内容には、日本の履歴書と英文履歴書(レジュメ)との間には大きな違いがあります。

記載すること

カナダでの英文履歴書、すなわちレジュメには、あなたの職業的背景を明確に伝えるために必要ないくつかの要素が含まれます。

まず、個人情報として、フルネーム、住所、電話番号、そしてプロフェッショナルなメールアドレスを記載します。次に、キャリアの目標や志向を示すオブジェクティブを簡潔に述べ、あなたのキャリアサマリーを通じて、これまでの経験やスキルのハイライトを提示します。職歴では、過去の職務内容と成果を具体的な数字や事例を交えて説明し、学歴では最終学歴を中心に記載します。さらに、特定の資格や特別なスキルがあれば、それらを強調するセクションを設けることが重要です。

記載しないこと

カナダの英文履歴書、レジュメには、日本の履歴書に比べて記載しない情報がいくつかあります。

例えば、年齢、性別、宗教、民族性などの個人的な特徴は差別を避けるために含めません。また、既婚か未婚かといった家庭状況や、趣味、写真などのプライベートな情報も不要です。さらに、健康状態や障害の有無に関する記載も避けるべきです。これらの情報は、職業能力とは直接関係がなく、カナダの雇用慣行では不適切とされています。レジュメはあくまで職業的な能力や経験を伝えるためのものであり、個人のプライバシーに関わる情報は控えることが求められます。

英文履歴書・職務経歴書(レジュメ)の書き方のポイント

カナダでの就職活動において、英文履歴書(レジュメ)はあなたのスキルや経験をアピールする重要なツールです。効果的なレジュメを作成するためのポイントは、明確で簡潔な表現を用いること、そして関連性のある情報のみを記載することです。

まず、レジュメは1〜2ページに収めるのが一般的で、最も重要な情報を最初に配置します。職務経歴は逆年代順に記載し、具体的な成果や数字を用いて実績を示すと良いでしょう。また、アクションワードを使って能動的な印象を与えることも大切です。例えば、「管理した」「改善した」「達成した」といった表現を使います。

さらに、業界や職種に応じたキーワードを盛り込むことで、スキャン可能なレジュメとなり、採用担当者の目に留まりやすくなります。最後に、誤字脱字がないか徹底的にチェックし、プロフェッショナルな印象を与えるためにもフォーマットに一貫性を持たせましょう。

英文履歴書(レジュメ)の書き方

このセクションでは、英文履歴書を書く際の基本的な構成と、それぞれのセクションの書き方について解説します。

PERSONAL INFORMATION(氏名・連絡先)の正しい書き方

カナダでの就職活動において、英文履歴書(レジュメ)の最初のセクションは「PERSONAL INFORMATION」、つまり個人情報を記載する部分です。ここでは、氏名、住所、電話番号、メールアドレスなどの基本的な連絡先情報を明記します。しかし、日本の履歴書によくあるような個人の詳細な情報、例えば年齢や性別、婚姻状況といったプライバシーに関わる情報は記載しません。これはカナダの雇用慣行において、差別を防ぐための措置です。

氏名はフルネームで、大文字で始めることが一般的です。住所は省略形を使わず、市区町村名から郵便番号までを完全に記載します。電話番号は国際形式で、カナダの国コード(+1)を含めることが望ましいです。メールアドレスはプロフェッショナルな印象を与えるものを選び、可能であれば名前が含まれているものが好ましいでしょう。

このセクションはレジュメの最も目立つ部分の一つであり、連絡先情報が正確かつプロフェッショナルに記載されていることが重要です。これにより、雇用主は候補者に容易に連絡を取ることができます。また、この部分の記載方法は第一印象に大きく影響するため、細部にわたって注意を払いましょう。

OBJECTIVE (希望職種)の正しい書き方

カナダでの就職活動において、英文履歴書(レジュメ)には「OBJECTIVE(希望職種)」のセクションが不可欠です。これは、あなたがどのような職種を希望しているのか、またその職種に応募するに至った動機や目的を簡潔に述べる部分です。OBJECTIVEの書き方にはいくつかのポイントがあります。

まず、OBJECTIVEは履歴書の最初のセクションに位置づけられることが多く、採用担当者が最初に目にする部分であるため、強い印象を残すことが重要です。簡潔かつ具体的に、あなたのキャリア目標や応募する職種に対する情熱を表現しましょう。

例えば、「Experienced marketing professional seeking a managerial position in the retail industry to leverage extensive background in market analysis and strategic planning.」のように、経験やスキルを織り交ぜながら、目指すポジションとその理由を明確にすることが望ましいです。

また、OBJECTIVEは応募する企業や職種に合わせてカスタマイズすることが肝心です。一つのテンプレートを複数の応募先に使い回すのではなく、それぞれの企業の文化や求める人材像に合わせた内容にすることで、あなたの真剣な姿勢が伝わります。

OBJECTIVEのセクションは短いながらも、あなたのプロフェッショナルなイメージを構築する上で非常に重要な役割を果たします。ポジションへの適合性を示すためにも、このセクションには十分な時間をかけて練り上げることをお勧めします。

SUMMARY(経歴やスキルの要約)の正しい書き方

英文履歴書(レジュメ)における「SUMMARY(経歴やスキルの要約)」セクションは、あなたのキャリアのハイライトを簡潔に伝えるためのものです。この部分では、職務経験、特筆すべき成果、保有スキルを要約し、なぜあなたがその職に最適な候補者であるかを採用担当者に示すことが求められます。

良いSUMMARYは、あなたのプロフェッショナルな価値を瞬時に伝えることができるべきです。そのためには、具体的な数字や成果を用いて、実績を明確に示すことが重要です。例えば、「10年以上のIT業界での経験を持ち、複数の国際プロジェクトを成功に導いた実績があるプロジェクトマネージャー」といった形で書くことができます。

また、あなたの専門性や特技を簡潔に述べることで、レジュメを読む人に強い印象を与えることができます。たとえば、「流暢な英語とフランス語のバイリンガル能力を活かし、国際的な顧客との交渉において顕著な成果を上げてきた」といった記述が考えられます。

SUMMARYセクションは、あなたのキャリアのエッセンスを凝縮したものであるため、履歴書の他の部分を読む前に、採用担当者の関心を引きつけるための「フック」として機能します。そのため、自己の強みやキャリアの目玉となるポイントを効果的に前面に出し、採用担当者があなたのプロフィールに興味を持つように工夫しましょう。

WORK EXPERIENCE(職歴)の正しい書き方

WORK EXPERIENCE(職歴)の部分は、カナダの雇用主が最も注目するセクションの一つです。ここでは、あなたの職務経験を具体的かつ簡潔に記述することが求められます。

まず、最新の職務から逆順にリストアップしましょう。各職歴には、勤務期間、会社名、役職、そして主要な職務内容を明記します。職務内容は、達成した成果や具体的な数字を用いて示すことで、あなたの貢献度を強調できます。また、動詞を使って行動を表現することで、よりダイナミックな印象を与えることができます。たとえば、「チームを率いて」といった表現は、リーダーシップを示唆します。

職歴は単なる経験の羅列ではなく、あなたのスキルと実績を伝えるための重要なツールであることを忘れないでください。

EDUCATION(学歴)の正しい書き方

EDUCATION(学歴)のセクションでは、あなたの学歴を明確に提示することが重要です。ここでは、高校以上の教育機関を記載し、大学や専門学校、大学院などの最終学歴を最初に挙げます。学校名の他に、取得した学位や専攻、卒業年を記入しましょう。また、特筆すべき成績や受賞歴、関連するコースやプロジェクトがあれば、それらも加えると良いでしょう。

例えば、学業成績が優秀であった場合は、GPA(Grade Point Average)を記載することが推奨されます。さらに、カナダの雇用主は国際的な経験を高く評価するため、留学経験や国際的な資格があれば、それも強調してください。学歴セクションは、あなたの知識と専門性をアピールする絶好の機会です。

QUALIFICATIONS/SPECIAL SKILLS(資格やスキル)の正しい書き方

カナダでの就職活動において、英文履歴書(レジュメ)における「QUALIFICATIONS/SPECIAL SKILLS」のセクションは、あなたの能力や専門知識をアピールする重要な部分です。ここでは、どのような資格や特別なスキルがあるかを明確に記載します。

まず、資格については、その国で認知されているものや、国際的に通用する資格を中心に記載しましょう。例えば、英語の資格であればTOEFLやIELTSのスコア、コンピュータ関連ではMicrosoft Office Specialist(MOS)やプログラミング言語の認定資格などが挙げられます。

スキルの部分では、具体的な技能や専門知識を簡潔に述べます。例えば、プロジェクトマネジメント、データ分析、マーケティング戦略の立案といった専門スキルや、チームリーダーシップ、コミュニケーション能力などのソフトスキルを記載すると良いでしょう。

このセクションを書く際には、応募する職種に関連する資格やスキルを前面に出し、自己の強みを効果的にアピールすることが重要です。また、単に列挙するのではなく、それぞれのスキルがどのように職務に役立つかの具体例も併せて記載すると、より説得力のある内容になります。

ADDITIONAL INFORMATION(その他の特記事項)の正しい書き方

英文履歴書(レジュメ)における「ADDITIONAL INFORMATION」のセクションは、あなたの人物像をより深く伝えるためのスペースです。ここでは、職務経歴やスキルのセクションには含まれないが、応募する職種にとってプラスとなる情報を記載します。

たとえば、ボランティア経験、趣味や興味がある分野、言語能力(母国語以外の言語)、国際的な経験や異文化コミュニケーション能力などが挙げられます。これらは直接的な職務経験とは異なりますが、多様性を重視するカナダの職場では、チームに新たな視点をもたらすことができると評価されることがあります。

このセクションを記載する際は、応募先企業の業界やカルチャーに合わせて、自分の経験がどのように価値をもたらすかを考慮しましょう。また、趣味や興味がある分野を記載する場合は、それがどのように自己の成長やチームワークに寄与するかを簡潔に述べると良いでしょう。

英文履歴書(レジュメ)のフォーマット

レジュメのフォーマットは、見やすさと情報の整理が鍵となります。

一般的には、白い無地のA4サイズの用紙を使用し、マージンは均等に設けることが推奨されます。フォントは読みやすいものを選び、サイズは10〜12ポイントが標準です。

レジュメは1〜2ページにまとめるのが理想で、最も重要な情報を最初に配置します。個人情報、職務経験、教育歴、スキルといったセクションは、明確に区切り、見出しを用いて整理しましょう。また、強調したいポイントは太字やイタリックで目立たせることも有効です。

カナダの雇用主は結果を重視するため、過去の職務経験では具体的な成果や貢献を数字や事例を交えて記述することが求められます。レジュメ作成に際しては、応募先の業界や職種に合わせてカスタマイズすることが不可欠です。常に最新の情報を反映させ、定期的な更新を心がけましょう。