日本とカナダの文化の違いについて

監修者

監修者末永 真一

カナダ留学コンサルタント、RCA 海外留学アドバイザー No.162002|カナダ在住20年以上のカナダ留学専門家。現在までサポートしてきた留学生数は1万人以上。カナダ留学情報を発信するX(Twitter)アカウントはカナダ以外も含む留学ジャンルでフォロワー数1位(1万人以上)、月間最大インプレッションは400万以上。

日本から遠く離れたカナダ。やっぱり、文化や習慣には違いが色々です。

そこでこの記事ではカナダに来て「日本と違うなぁ」と感じたこと、知らなかったこと、学んだことをご紹介します。

多言語があふれている!

カナダは世界でも有数の多文化国家です。公用語は英語とフランス語ですが、街を歩けば様々な言語が飛び交っているのを耳にすることでしょう。

特に大都市では、中国語、パンジャブ語、スペイン語、タガログ語など、多様な言語が聞かれます。これはカナダが移民を積極的に受け入れていることに起因しており、それぞれの文化が尊重される環境が整っています。

日本ではほとんどの人が日本語を話しますが、カナダではこのような多言語環境が日常的なのです。この言語の多様性は、カナダの開かれた社会を象徴しており、異文化交流の機会も豊富にあります。日本から訪れると、その言語の違いに驚かされることが多いですが、それがまた新しい発見や学びにつながるのです。

国内にも時差がある

カナダは広大な国土を持つ国であり、その広さゆえに国内にも複数の時差が存在します。

東から西へと、大西洋標準時、東部標準時、中部標準時、山岳標準時、太平洋標準時と、5つの時間帯に分かれています。これは日本にはない現象で、日本国内ではどこにいても同じ時間を共有していますが、カナダでは地域によって時間が異なるため、国内での移動やコミュニケーションには注意が必要です。

例えば、トロントとバンクーバーでは3時間の時差があり、ビジネスの電話会議をする際にはこの時差を考慮する必要があります。また、カナダの広さは日本の約25倍にも及ぶため、このような時差が生じるのも納得のいく話です。旅行者にとっても、国内の異なる都市を訪れる際には、時差への対応が求められるでしょう。

異文化に優しい

カナダは多文化主義を国是としており、異なる文化背景を持つ人々が共存しています。この国の異文化に対する優しさは、公共の場での多言語表示からも伺えます。

例えば、空港や公共施設では英語とフランス語の表示が基本ですが、多くの場合、中国語やスペイン語など他の言語での案内も見られます。また、多様な文化の祭りやイベントが開催され、それぞれの文化を尊重し、祝う機会が豊富にあります。公共機関や企業では、異文化理解を深めるための研修が行われることも珍しくありません。

このように、カナダでは異なる文化の人々が互いに理解し合い、支え合う姿勢が日常的に根付いているのです。

LGBTQにも優しい

カナダは世界でも特にLGBTQ+コミュニティに対して理解があり、受け入れる姿勢が顕著な国の一つです。性的少数者の権利が法律によって保護されており、同性婚も2005年から全国的に合法化されています。日本ではまだ同性婚が法的に認められていないため、この点は大きな文化の違いと言えるでしょう。

カナダの多くの都市では、プライドパレードやLGBTQ+に関連するイベントが盛んに行われており、多様性と包括性を祝う文化が根付いています。また、トランスジェンダーの人々に対する理解も進んでおり、性別を自己申告することができる州もあります。

日本人がカナダを訪れる際には、このような文化的背景を理解し、LGBTQ+の人々に対するリスペクトを持つことが大切です。カナダでは、性的指向や性自認に関わらず、すべての人が尊重されるべき存在として扱われるのが一般的な価値観です。

挨拶が多い

カナダでは、日常生活の中での挨拶が非常に多いことに気がつきます。

例えば、朝の通勤時には、バスの運転手に向かって「Good morning」と挨拶を交わすのが一般的です。また、会社や学校に到着した際には、同僚やクラスメートと「How are you?」という形で挨拶をすることが日常茶飯事。これは単なる形式ではなく、相手に対する敬意とコミュニティの絆を示す行為として根付いています。

さらに、店に入るときや出るときにも「Hello」「Thank you, have a nice day!」といったフレーズを交わすことが多く、これは日本の「いらっしゃいませ」「ありがとうございました」とは異なり、よりパーソナルな印象を受けます。カナダ人はこのような挨拶を通じて、日々のコミュニケーションを温かく、そしてフレンドリーに保っているのです。

知らない人同士が会話する

日本では、知らない人との会話は一般的ではありませんが、カナダでは全く異なる文化があります。バス停で、カフェで、さらにはスーパーマーケットのレジでさえ、知らない人同士が自然に会話を始めることが珍しくありません。

このようなコミュニケーションは、カナダの社会が持つオープンな性格を反映しています。人々は友好的で、他者に対する好奇心が強く、新しい人との出会いを楽しむ傾向にあります。日本人が初めてカナダを訪れた際には、このような文化の違いに戸惑うかもしれませんが、徐々に慣れていくうちに、このオープンなコミュニケーションスタイルが心地よく感じられるようになるでしょう。

人が優しい

カナダの人々の優しさは、日常生活のあらゆる場面で感じられます。

例えば、道を歩いているときに迷ったりすると、見知らぬ人が親切に道案内をしてくれることがよくあります。また、重い荷物を持っているときには、手助けを申し出てくれる人も少なくありません。

このような行動は、カナダの社会が互いに助け合い、思いやりを持って接する文化を持っていることを示しています。日本では、他人に対して積極的に関わることは控えめな傾向にあるため、カナダのこのような優しさは新鮮に感じるかもしれません。しかし、この温かい雰囲気は、訪れる人々をすぐに魅了し、心地よい滞在を約束してくれるでしょう。

チップ制度がある

カナダにおけるチップ制度は、日本人にとっては少々戸惑う文化の一つです。

レストランやタクシー、美容院など、サービス業を利用する際には、サービス料とは別にチップを支払うのが一般的な習慣となっています。支払うチップの額は、サービスの質に応じて変わりますが、一般的には支払い金額の15%から20%が目安とされています。日本ではチップを渡す習慣がないため、初めてカナダを訪れる人は、このシステムに慣れるまで少し時間がかかるかもしれません。

しかし、チップを通じてサービス提供者への感謝の意を示すことは、カナダの文化の中で重要な役割を果たしており、良いサービスに対する敬意として捉えられています。

お客様と店員は対等な立場

カナダでは、お客様と店員との間には対等な関係が築かれています。日本のように「お客様は神様」という考え方は少なく、お互いを尊重する姿勢が基本です。

例えば、レストランでの注文時には、店員さんが膝をついて注文を取ることはほとんどありませんし、お客様も店員さんを尊重する言葉遣いを心がけます。また、何か問題があった場合には、お客様が声を大にして不満を述べるよりも、落ち着いて話し合いをすることが一般的です。このように、カナダではお客様と店員が対等な立場で接することで、より良いサービスと快適な環境が生まれると考えられています。

食べきれないものはテイクアウト可能

日本では、レストランで食べきれなかった料理を持ち帰ることはあまり一般的ではありませんが、カナダでは、食べきれない料理を無駄にしないために「ドギーバッグ」と呼ばれるテイクアウト用の容器に入れて持ち帰る習慣が根付いています。

これは、食文化だけでなく、食品廃棄を減らすという環境への配慮も感じられる行動です。レストラン側もこの習慣を積極的にサポートしており、客が残した料理を持ち帰りたいと申し出た際には、快く対応してくれます。このように、カナダでは食事の持ち帰りが一般的であり、それがまた一つの文化の違いとして挙げられるでしょう。

返品、交換が当たり前

日本では、購入した商品の返品や交換は比較的厳しい条件が設けられていることが多いですが、カナダでは消費者の権利が強く尊重されており、返品や交換が非常に容易です。多くの店舗では、購入後一定期間内であれば、理由を問わず返品や交換を受け付けてくれます。これは、カナダの消費者保護法がしっかりと機能している証拠でもあります。

例えば、服を購入した後でサイズが合わなかったり、家に帰ってから思っていた色と違うと感じたとしても、タグを外していなければ、ほとんどの場合で問題なく返品・交換が可能です。このような制度は、消費者にとっては非常に心強いものであり、安心してショッピングを楽しむことができる要因の一つとなっています。

ただし、返品・交換のポリシーは店舗や商品によって異なるため、購入時にはその条件をよく確認することが大切です。また、衛生商品やセール品など、返品・交換ができない商品もあるので注意が必要です。カナダでの買い物では、このような返品・交換の文化を理解し、上手に活用することが、賢い消費者になるためのポイントと言えるでしょう。

日本とカナダの文化の違いについて まとめ

日本とカナダ、地理的にも文化的にも大きな隔たりがある二国ですが、本記事を通じてその違いをいくつかご紹介してきました。日本とは異なるカナダならではの特徴を感じ取っていただけたことでしょう。

これらの違いを知ることは、異文化理解の第一歩です。カナダを訪れる際には、これらの文化的特徴を理解し、尊重することで、より豊かな経験と交流が可能になります。また、日本にいながらカナダの文化を学ぶことも、国際的な視野を広げる素晴らしい機会です。

文化の違いは、私たちが世界をより深く知るための窓であり、それを通じて多様性の価値を学び、互いに対する理解を深めていくことができます。