カナダ留学や永住に必要な英語力について

監修者

監修者末永 真一

カナダ留学コンサルタント、RCA 海外留学アドバイザー No.162002|カナダ在住20年以上のカナダ留学専門家。現在までサポートしてきた留学生数は1万人以上。カナダ留学情報を発信するX(Twitter)アカウントはカナダ以外も含む留学ジャンルでフォロワー数1位(1万人以上)、月間最大インプレッションは400万以上。

カナダ留学の大きな目的の一つ、「英語力の向上」

その「英語力の向上」がより大きな目標を達成するための手段となる場合があります。

カナダでカレッジや大学に進学する時
カナダに永住する時
など、海外で生活をするために英語力は欠かせません。

そこでこの記事では、

・英語力の証明方法
どれほどの英語力が求められるのか
・求められる英語力達成までの勉強方法と勉強量

について解説します。

英語力証明に使えるテスト

カナダ留学や永住を目指す際には、英語力を証明することが不可欠です。そのためには、世界的に認知されている英語能力テストのスコアを提出する必要があります。主に使われるテストはIELTS(アイエルツ)、TOEFL(トーフル)、そしてカナダ特有のCELPIP(セルピップ)です。

IELTS(アイエルツ)

IELTS(アイエルツ)は、国際的に認められた英語能力試験の一つで、カナダ留学や永住を目指す際には欠かせないテストです。この試験は、リスニング、リーディング、ライティング、スピーキングの4つのセクションで構成されており、それぞれの能力を総合的に評価します。カナダの教育機関や移民局は、IELTSのスコアを英語力の証明として広く受け入れています。特に、カレッジや大学への入学には、一定のスコアが必要とされることが多く、また永住権を申請する際にも、IELTSのスコアが重要な要素となります。IELTSには、’Academic’と’General Training’の2つのタイプがあり、留学や専門職への就職を目指す場合はAcademic、永住権取得や職業訓練を目指す場合はGeneral Trainingが適しています。

TOEFL(トーフル)

TOEFL(トーフル)は、アメリカの非営利団体ETSによって運営されている英語能力試験です。カナダの多くの教育機関が入学の際にTOEFLスコアを要求しており、特に大学や大学院レベルのプログラムではその傾向が強いです。TOEFLには、インターネットベースのテスト(iBT)と紙ベースのテスト(PBT)の2種類がありますが、カナダの教育機関では主にiBTのスコアが求められます。

TOEFLの試験内容は、リーディング、リスニング、スピーキング、ライティングの4つのセクションから構成されており、それぞれのセクションでのパフォーマンスが総合的に評価されます。カナダのカレッジや大学に入学するためには、TOEFL iBTで一般的には総合スコア80点以上が求められることが多いですが、プログラムによってはそれ以上のスコアが必要とされる場合もあります。

TOEFLスコアは、カナダ留学を目指す学生にとって、自身の英語力を証明する重要な手段の一つです。留学を成功させるためには、事前に必要なスコアを確認し、適切な対策と勉強を行うことが不可欠となります。

CELPIP(セルピップ)

CELPIP(セルピップ)はカナダ国内で開発された英語能力試験で、特にカナダの永住権取得や市民権申請において認められているテストです。このテストはカナダの日常生活や職場で使用される英語を反映しており、リスニング、リーディング、ライティング、スピーキングの4技能を測定します。試験はコンピュータベースで行われ、実際のカナダでの生活シーンを想定した質問が多く出題されるため、実用的な英語力を証明するのに適しています。CELPIPのスコアは「Canadian Language Benchmarks(CLB)」というカナダの公式な言語能力指標に基づいて評価され、永住権取得に必要なCLBレベルが明確に定められています。

日本とカナダの英語力の指標を比較

日本とカナダの英語力の指標を比較すると、明確な違いが見て取れます。日本では英語教育の一環として、中学校や高校で学ぶ英語のレベルや、大学入試で問われる英語力が一般的な指標となっています。これに対してカナダでは、実用的な英語能力を測るためのテストが指標とされており、特にIELTSやTOEFL、CELPIPといった国際的な英語試験のスコアが重視されます。

日本の英語教育は文法や読解力に重点を置いている傾向がありますが、カナダではコミュニケーション能力、つまりリスニングやスピーキングの能力がより重要視されています。そのため、カナダの大学やカレッジへの入学、また永住権取得のためには、これらのスキルを証明するテストスコアが必要不可欠となるのです。

この違いを理解し、カナダでの生活や学業に必要な英語力を身につけるためには、日本国内での学習だけでなく、実際に英語を使う環境での経験や、国際的なテストに向けた対策が求められます。

カレッジ、大学に入学に必要な英語力

カナダのカレッジや大学に進学するためには、一定レベルの英語力が求められます。

私立カレッジ入学に必要な英語力

多くの私立カレッジでは、IELTSやTOEFLなどの公式な英語能力試験のスコアを入学条件として設定しています。一般的に、私立カレッジではIELTSで5.0から6.0、TOEFLではiBTで60から80のスコアが求められることが多いですが、学校やプログラムによって異なるため、事前に確認が必要です。

また、私立カレッジによっては独自の英語試験を実施している場合もあります。これは、学生がカレッジの授業についていけるだけの英語力を持っているかを判断するためです。しかし、国際的に認知されているテストスコアを持っている方が、入学手続きがスムーズに進むことが一般的です。

私立カレッジへの入学を目指す場合、英語力の証明は避けて通れない道です。そのため、留学前にはしっかりとした英語の勉強計画を立て、必要なスコアを取得するための準備をしておくことが大切です。

公立カレッジ・大学入学に必要な英語力

一般的に、公立の教育機関ではIELTSやTOEFLなどの公式な英語能力試験のスコアを入学条件として設けています。これらのテストでは、リーディング、ライティング、リスニング、スピーキングの4技能が測定され、それぞれのスキルに対してバランス良く高いスコアを求められることが多いです。具体的には、IELTSで総合6.5以上、TOEFL iBTで80点以上が目安とされることが一般的ですが、専攻やプログラムによってはより高いスコアが要求される場合もあります。これらのスコアを達成するためには、日常的な英語の使用に加えて、アカデミックな英語力を身につけることが不可欠です。

カレッジ、大学入学に必要な英語の勉強量

カレッジや大学への入学を目指す際、英語力は非常に重要です。特にカナダの教育機関では、入学前に一定レベルの英語力が求められることが一般的です。では、具体的にどの程度の勉強量が必要なのでしょうか。

まず、目安となるのは、入学を希望する学校が要求する英語試験のスコアです。多くの場合、IELTSやTOEFLなどの試験で、一定のスコアをクリアする必要があります。スコアに到達するためには、リーディング、ライティング、リスニング、スピーキングの4技能をバランスよく伸ばすことが求められます。

一般的に、英語を母国語としない学生がIELTSで6.5から7.0のスコアを取得するためには、週に15〜20時間程度の勉強が推奨されています。しかし、個人の英語の基礎力や学習方法によって必要な勉強量は大きく変わるため、自分のレベルを正しく把握し、計画的に勉強を進めることが重要です。

また、学習プランを立てる際には、短期集中型の勉強法と長期的な学習法のどちらが自分に合っているかを考えることも大切です。短期間で集中的に学習することでスコアアップを目指す方法もあれば、日常生活の中でコツコツと英語力を身につける長期的なアプローチも有効です。

カレッジや大学入学のための英語学習は、ただ時間をかけるだけではなく、効率的かつ効果的な方法を選ぶことが成功への鍵となります。自分に合った勉強法を見つけ、目標達成に向けて一歩ずつ進んでいきましょう。

カナダに永住するための英語力

カナダに永住を考えたとき、英語力は非常に重要な要素となります。永住権を取得する過程で、英語能力を証明するためのテストスコアが求められることが一般的です。カナダの移民政策は、申請者の英語力を客観的に評価するために、特定の英語試験のスコアを要件としています。

永住権取得に必要な英語テスト

カナダでの永住権取得を目指す際には、英語テストのスコアが必須の条件となります。特にIELTS(アイエルツ)とCELPIP(セルピップ)は、カナダ移民局が認めるテストの代表例です。IELTSは国際的に広く認知されており、CELPIPはカナダ国内での英語使用環境を想定したテストとして開発されました。

これらのテストは、カナダの公式な言語レベル指標であるCanadian Language Benchmarks(CLB)に基づいて評価されます。例えば、Federal Skilled Worker Program(連邦技能労働者プログラム)では、最低CLBレベル7が要求されることが多いです。また、異なる移民プログラムでは、より高いCLBレベルが求められる場合もあります。

移民申請者は、自分が応募するカテゴリーに応じた英語力を証明するために、これらのテストで必要なスコアを事前に把握し、計画的に準備を進めることが大切です。永住権取得の道のりは、英語力の証明から始まると言っても過言ではありません。

英語試験の点数を「CLB」に換算

カナダでの生活や留学、そして永住を目指す際には、英語力を証明するために様々なテストスコアが求められます。特に永住権申請においては、英語試験の点数を「カナダ言語ベンチマーク(Canadian Language Benchmarks, CLB)」に換算することが一般的です。CLBはカナダ政府が定める英語力の指標で、レベル1から12まであります。

例えば、IELTSではリスニング、リーディング、ライティング、スピーキングの各セクションで得られたバンドスコアをCLBレベルに変換します。TOEFLやCELPIPのスコアも同様に、CLBレベルに対応する表を用いて換算されます。このCLBレベルが、カナダの永住権を得るための基準となり、また就労ビザの申請や市民権取得の際にも重要な役割を果たします。

永住権を申請する際には、CLBレベル7以上が一般的に求められることが多いですが、職種やプログラムによって必要なレベルは異なるため、事前にしっかりと確認することが重要です。

カナダ永住に必要な英語の勉強量

永住権を取得するためには、一定レベルの英語力が求められ、それを証明するためのテストスコアが必要となります。では、具体的にどれほどの勉強量が必要なのでしょうか。

カナダ永住権取得に使える制度とポイントシステムについて

カナダ永住権申請の代表的なプログラムに、Express Entry(エクスプレス・エントリー)と呼ばれるポイントベースのシステムがあります。エクスプレス・エントリーでは、申請者の年齢、教育、職歴、そして言語能力などが総合的に評価され、ポイントが割り当てられます。

言語能力のポイントは、カナダの公式言語である英語またはフランス語のテストスコアに基づいています。テストとしては、IELTSやCELPIPなどが認められており、これらのスコアが申請者の言語能力を証明するための重要な指標となります。ポイントシステムでは、高い言語スコアが高いポイントにつながり、永住権取得の可能性を高めることになります。

したがって、カナダ永住を目指す人は、これらのテストで高得点を目指すことが求められます。具体的なスコア要件は、選択する移民プログラムによって異なるため、自分が申請を考えているプログラムの要件を事前に確認し、目標とするスコアを明確にすることが重要です。

「BCPNP ELSS」を例に必要な英語力を解説

カナダのブリティッシュコロンビア州で永住権を取得するための一つの方法として、「BCPNP ELSS(ブリティッシュコロンビア州プロビンシャルノミニー・プログラム エントリーレベルおよびセミスキルドカテゴリー)」があります。このプログラムは、特定の職種に従事している労働者が対象となり、州からの推薦を受けることで永住権取得の道が開かれます。

BCPNP ELSSに申請する際には、英語力の証明が必須条件となります。具体的には、カナダ言語ベンチマーク(CLB)でレベル4以上のスコアをIELTSやCELPIPなどのテストで示す必要があります。CLBレベル4とは、リスニングとスピーキングで各4.5、リーディングとライティングで各3.5以上のIELTSスコアに相当します。

このレベルは、日常的なコミュニケーションを行うのに十分な英語力を持っていることを意味し、カナダでの生活や仕事に必要な基本的なコミュニケーションスキルがあることを示しています。BCPNP ELSSを通じて永住権を目指す場合、この英語力を証明することが第一歩となるため、適切な勉強計画を立て、必要なスコアを獲得することが重要です。

カナダ留学や永住に必要な英語力について まとめ

カナダでの留学や永住を目指す際には、英語力が非常に重要な要素となります。本記事では、英語力の証明方法としてIELTS、TOEFL、CELPIPなどのテストについて、また、カレッジや大学への入学、さらには永住権取得に必要な英語力のレベルについて詳しく解説しました。留学前の準備段階から、カナダでの生活を始めるまで、英語力を証明し、磨き上げることが成功への鍵です。この記事が、英語力向上のための学習計画を立てる一助となれば幸いです。カナダでの新たなスタートに向けて、今日から一歩ずつ英語力を高めていきましょう。