ロンドン留学は治安が心配? 国と治安と防犯について解説

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歴史を感じられる街並みと最先端な文化が入り混じる世界屈指の都市「ロンドン」、質の高い教育が受けれられるということで留学先として非常に人気です。

英語だけでなく世界的に有名な歴史的建造物などの世界遺産や映画の撮影地などの観光スポットがあるため、学校の勉強で疲れた体をリフレッシュできる場所が多くあり、質の高い留学生活を送ることができるでしょう。

そんな人気の留学都市「ロンドン」ですが、いざ留学するとなると気になるのが現地の治安問題ですよね?

記事ではそんなロンドンの治安事情、巻き込まれやすいトラブル、対処法と予防策などを分かりやすくまとめました。

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ロンドンの治安について

ロンドンは世界有数の大都市でありながら治安は比較的良い方です。The Economist Intelligence Unitが作成した報告書『Safe Cities Index 2021』によると、世界の都市安全指数ランキングでロンドンは第15位にランクインしています。

このランキングはデジタル(サイバーセキュリティ)、健康、インフラ、個人および環境の安全性を網羅する76の指標をもとに60都市をランク付けしたものです。

一見あまり良くない順位のように思えますが、日本の順位と比較してみると、東京は第5位、大阪は17位と東京には及ばないものの大阪よりは高い順位に位置しています。

英語留学が初めての方でも、イギリスのロンドンはぴったりな場所です。安心して滞在し、勉学や仕事に集中することができるでしょう。

いくら安全とはいえ、油断は禁物

しかし、注意しなくてはいけないことがあります。

ロンドンはランキングは大阪と大した差がないものの、やはり犯罪の発生率は高くなっています。そして、いくら治安がいい国とはいっても、右も左も分からない留学生は何かしらの事件に巻き込まれる可能性があります。

ロンドン市内にも危険と言われているエリアはあるので、留学生は細心の注意を怠らないようにしましょう。

※ 参考元:The Economist Intelligence Unit『The Safe Cities Index 2021』

ロンドンの治安が良い理由

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ロンドンの治安の良さの維持、それは市が掲げている目標「Become the safest city area in the world(世界で最も安全な都市へ)」が大きな要因です。

この目標達成のために世界の都市で行われている治安維持の事例を参考に将来の課題や脅威に対応できるよう、警備体制を整えています。

1990年代半ばからロンドン市警察は市民の安全を守るための日常活動の一環として、ロンドン市全域で公共の防犯カメラを運用し、裁判での証拠となる防犯カメラの映像を提供しています。

また現在はカメラのアップグレードが行われたり、公共の安全に対する潜在的なリスクが高まっていると指摘されている地域に、多数の追加カメラを設置することが提案されています。

これには、自殺を計画しているかもしれない状況や場所で早期警告を提供できるカメラも含まれており、市民一人一人の安全を守っています。

※ 参考元:Secure City | City of London Police

どのエリアの治安が悪いのか

世界で最も安全な都市を目指すロンドンでも危険なエリアは存在します。今から紹介するエリアを訪れる際は十分に注意してください。

ブリクストン(Brixton)

Brixtonは移民が多く住んでおり、以前はロンドンで最も危険なエリアとして知られていました。徐々に改善はしてきているものの、未だに犯罪率は高くなっているのでここを訪れる際は細心の注意を払いましょう。

特に夜間は危険ですので、移動する際はタクシーを利用することをおすすめします。

エレファント&キャッスル(Elephant&Castle)

Elephant&CastleもBrixtonと同様に移民が多くロンドンでは危険なエリアとされています。

こちらも以前に比べて治安の改善は行われているそうですが、未だに麻薬やドラッグの密売が実際に行われているので、気をつけるようにしましょう。

その他

観光名所などの人が多いエリアはスリやひったくりが多く発生します。その他にもバーやクラブでは飲酒によるトラブルで日本人が巻き込まれるといったこともあるので十分に注意しましょう。人通りが少なく、暗い道は危険です。

そういった危険が潜んでいそうな場所には極力近付かないようにしましょう。

※ 参考元:英国安全対策基礎データ

ロンドンの犯罪率

「ロンドン」と英語留学で定番の4都市「バンクーバー」「ニューヨーク」「ロサンゼルス」、そして日本の首都「東京」で犯罪率と安全率を比較してみました。

各エリアの犯罪率と安全率のデータは、世界中の生活情報を記録している世界最大のデータベース「NUMBEO」より引用しています。

都市犯罪率安全率
ロンドン53.5%46.6%
東京23.5%76.5%
バンクーバー37.5%62.5%
ニューヨーク47.7%52.4%
ロサンゼルス50.5%49.7%

表を見ると他の都市に比べ、犯罪率、安全率共に良い結果とは言えません。スリやひったくり、置引きなどの軽犯罪の発生率やドラッグ使用者が多く、それが起因して犯罪率や安全率に影響を与えてしまっています。

ただ、この数字が絶対というわけではありません。

ロンドンへ留学して何もトラブルに巻き込まれずに帰ってきた人がほとんどです。トラブルに巻き込まれてしまう人のほとんどが防犯意識の低さが原因なので、防犯意識を変えることが重要です。

※ 参考元:NUMBEO「About Crime Indices At This Website」

トラブル事例

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ここでは、留学生や観光客が巻き込まれる可能性のあるトラブルについて、いくつかご紹介します。

スリ・置引き

観光名所がたくさんあるロンドンではスリが社会問題とされるほど頻発しています。

バスや地下鉄、エレベーターの乗り降りをする際などで被害に遭うケースが多く、犯行は単独とは限りません。グループでの犯行で手口もとても巧妙になっています。

また、幼い子供や少女によるスリの事例も報告されており、一見悪いことをしなさそうな人がスリ師であるということもあるので十分に気をつけましょう。

その他、置引きにもご注意ください。自分の荷物から離れた・目を離した隙に盗まれているということがよく起こります。

日本人を狙ったスリや置引きも多発しているため、注意を怠ってはいけません。

強盗・ひったくり

バイクやスクーターを利用したひったくりが頻発しており、車道側にバッグを出して歩いている人は最高のターゲットです。後ろから来たバイクなどに簡単にひったくられてしまいます。

車道側でバッグを持つということ、つまり、自ら「私のバッグはここです!取れるもんなら盗ってみな」とアピールして歩いているということになります。

「車道側にバッグを出さない」や「バッグは前に・見えるように持つ」などは常識です。

偽警官による詐欺

日本ではあまり聞きなれない偽警官による詐欺がロンドン市内で発生しています。

私服警官を名乗る人物が麻薬捜査をしているといって現れ、偽警察の求めに応じて財布から現金を盗まれたり、クレジットカードの情報が盗まれるなどの事件が発生しています。

偽警官による手口の流れは以下の通りです。

(あくまで一例)

  1. 観光客を装った一人が道を尋ねてくる
  2. 道を教えている最中に私服警官と名乗る仲間が現れる
  3. 麻薬捜査のためバッグの中身の確認を求めてくる
  4. 仲間の一人が偽警察官の求めに応じる(観光客を装った一人)
  5. 流れで自分もバッグの中身確認に応じてしまう

その確認の間に現金やクレジットカード情報が抜かれてしまう

このように複数人グループで犯罪を仕掛けてくることもあるので、警察官の服装をしていない”私服の自称警察官”の求めには、基本的に従わないようにすることが大切です。

その他

その他にもオンライン詐欺や性犯罪なども発生しています。

外務省の海外安全ホームページにある「英国安全対策基礎データ」から最新の犯罪発生状況が掲載されているので定期的に目を通すようにしましょう。

トラブル時の対処法

では、実際にロンドンでトラブルにあった際、どのように対処すればいいのでしょうか。

海外でのトラブルは、事前に対処法を認識し頭に整理できていることが被害を最小限に抑えてくれます。留学前に、しっかり抑えておきましょう。

携帯電話の紛失・盗難の対処法

ここで必ず行わなければいけないことは「自身の携帯電話の悪用を防ぐ」です。自身の携帯が犯罪で利用されることが最悪のケースです。そうならないためにも以下のことを行ってください。

まずはパソコン等から自身の携帯端末を遠隔でロックを行ってください。携帯端末のほとんどが遠隔でロックできるようになっているので、遠隔ロックを行い悪用されるリスクを回避しましょう。

やり方は「自身の端末名 リモートロック」で検索してください。

次にご自身の携帯会社に連絡し、回線を停止させてください。回線を利用できなくなれば悪用されるリスクを大幅に減らすことができます。

クレジットカードやキャッシュカードの紛失・盗難対処法

ここでも上記と同様に「自身のカードの悪用を防ぐ」ことを第一にしています。

まずクレジットカードやキャッシュカードを盗られてしまった場合はカード会社に連絡し、カードの利用停止を行いましょう。カード停止はすぐにできるので、停止してしまえば悪用されることはありません。

パスポートの紛失・盗難対処法

パスポートは海外で再発行できるということを覚えておいてください。パスポートの紛失・盗難されたからとパニックになってはいけません。冷静に下記の手順で再発行の手続きを行いましょう。

まず、パスポートがないことに気づいた時はパスポートの申請に必要な書類であるパスポート紛失証明書「ポリスレポート」を警察に作成してもらわなければなりません。警察署へ行き、事情を説明すれば発行してくれます。

そしてポリスレポートを受け取ったら、日本大使館へ向かい「紛失一般旅券等届出書」(パスポート紛失届)を提出し、新規パスポートの発行、または渡航書(一時的なパスポートの代用書類)の発行手続きを行ってください。

その他の対処法

どうすれば良いのかわからない際は、利用しているエージェントや自分の通う語学学校に連絡し被害状況を伝え、学校の指示に従いましょう。また、現地の警察にはしっかり被害届を出すようにしましょう。

被害届を提出したことで、保険が適用される可能性があります。その辺はご自身の保険会社の書類をみることで補償の範囲内のなのか、そうでないのかを判断することができます。

また、自分の英語力に自信がない時は何かしらのトラブルに巻き込まれたとしてもエージェントや日本大使館に頼ることで適切な指示を日本語で受けることができます。

何かあった際の緊急連絡先

緊急性の高い場合の連絡先は「999」か「112」です。

「999」は警察・消防署・救急車、全ての緊急連絡先に繋がり、自分の状況に合わせて「Police」・「Fire service」・「Ambulance」何が必要なのかを伝えてください。また「112」も「999」と全く同じですが、この番号は海外にいてもかけれる番号になっています。

その他に「101」という緊急を要さない時にかける番号もあります。

また、英語に不安のある方は在英国日本国大使館の電話番号である「(市外局番020)-7465-6500」に電話してください。

緊急時の連絡先は外務省の海外安全ホームページにある「英国安全対策基礎データ」で確認することができます。他にも様々な防犯対策が記されているので、渡航前に目を通しておくことをおすすめします。

【危機管理】予防のためにどうすればいいか

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重要なことはトラブルを未然に防ぐということです。下記で紹介している予防策は一部にすぎません。しっかりと自分の中での対策を練っておくことがトラブルや犯罪に巻き込まれないようにするポイントです。

バッグに意識する

非常に重要です。バッグの持ち方一つで狙われるか、狙われないかが大きく変わってきます。

「バッグのチャックはしっかり閉まっているか?」、「バッグを車道側の腕で持っていないか」、「バッグから財布や携帯電話がはみ出ていないか」などこうした些細なことが犯罪・トラブルを未然に防ぐ鍵となります。

「No」を言える勇気を持つ

留学に行くと現地の人との交流が醍醐味といっても過言ではありません。

しかし、全ての人が100%良い人とは限りません。全く知らない人で絶対大丈夫というような人は存在しません。絶対大丈夫と気を許した人がスリ集団の一人だという可能性もあります。親切すぎる人にも注意が必要です。

また、「日本人は「NO」といえない人種」と思われがちで押し切ったらうまく騙せるだろうと考える悪い人もいます。トラブルに巻き込まれないためにも、不審に思ったらキッパリ「NO」と伝え、その場を離れましょう。

中途半端な対応が更なるトラブルを生んでしまいます。

冷静な対応で、しっかり確認をとる

特に大事なことです。例えばタクシーやミニキャブを利用するときはしっかり認可が降りたものなのか?私服警察と名乗る人は本当に私服警察官なのか?

違和感を感じたらしっかりと確認をとることが重要です。

警察官であったら個別のID番号が付与されているので、その番号を必ず確認するようにしましょう。また、警察官が、クレジットカードの提示を求めたり、暗証番号を聞いたりすることは決してありません。

ただ、突然警察と名乗る人に「バッグを見せろ」と言われたら慌ててしまいますよね。

だからこそ、事前にこのような事件があるとわかっていれば、自分に起きたとしても落ち着いた対応が取れるのです。

その土地に馴染むことこそがロンドン留学成功の鍵

ロンドンは留学先として最適な場所ですが、犯罪率がやや高いことから高い防犯意識を持って生活しましょう。日本での常識は、一歩海外に出てみるとそれは常識ではなくなります。

「郷に入っては郷に従え」という言葉があるように、その土地の風習や文化、常識に従い、その土地に馴染むように心がけることが重要です。

今回紹介したことはほんの一部に過ぎません。これを機に自分の防犯意識や自分が留学する・している地域の治安について考えてみるのもいいかもしれません。